日経ビジネス電子版 2021年12月27日掲載
「プライム上場企業では3分の1以上に 社外取締役の本来の役割とは」

東京証券取引所が2022年4月、3つの市場に再編される。これと両輪で上場企業の質を高めるコーポレートガバナンスコードも21年6月に改定された。最上位のプライム市場に上場する企業では社外取締役を3分の1以上(支配株主がいない場合)にするなど、その役割と存在感が大きくなる。社外取締役はどのような役割を求められるのか。十分な機能を果たしているかと疑問符を付けられることもあった社外取締役の何が問題なのか。6社の社外取締役・同監査役を務める公認会計士の大久保和孝氏と、経済学者出身で、現在は企業の幹部教育機関を運営する中谷巌氏に聞いた。

日経ビジネス電子版 2021年12月27日掲載記事
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以下、本文より要旨抜粋。

・新型コロナウイルスの感染拡大、気候変動、そして米中関係の悪化、格差拡大、テロなど人類文明そのものを揺り動かすような非常に大きな変化が今起きている。経営学を勉強しているだけではどう対応していいのか分からない。企業の側には、もっと広い視点でものを見る必要があるという考え方が非常に強くなっている。より哲学的、倫理的な議論を展開する時期にきている。コーポレートガバナンス改革は、一層幅広く世界で起きていることを反映し、社外取締役が何をすべきかという議論も掘り下げる必要がある。

・大企業は倫理の専門家を社外取締役として雇うべきだ。資本主義は、資本の効率性を追求してきた。経営者もそれを追い求めてきたが、結果として気候変動、格差拡大などの問題を招いた。だから社外取締役は、企業が資本の論理に基づいた経営をしているかどうかだけではなく、社会にとって倫理的な行動をしているかを見る必要がある。社内だけではチェック機能が働かない。

・上場企業、特にプライム市場へ移る企業には社会的責任も大きい。社会にとって役に立つ企業であるか、存在理由も含めて社外取締役が見る必要がある。大企業になればなるほど、しっかりした倫理観を持っていないと正しい経営はできない。