不識塾
2017年11月21日

「近代日本を太平洋とアメリカで考える~尊皇攘夷から日米戦争まで」講師:片山杜秀先生(慶應義塾大学法学部教授)

講 師:片山杜秀 慶應義塾大学法学部教授
テーマ:「近代日本を太平洋とアメリカで考える~尊皇攘夷から日米戦争まで」

 

 不識塾では毎年、日本の近代史について考える講座を設けている。今回塾生発表テーマは「日米開戦は回避できたか」である。なぜ日本は、絶対に勝てないと予測されていた米国と開戦する羽目になったのか。どこに根源的な理由があったのか、その構造は現代にも引き継がれているのだろうか。塾生発表では、①国際情勢分析の甘さ、②戦略・ビジョンの欠落、③国民の好戦的熱狂(ポピュリズム)、④明治憲法下においてのガバナンス構造の欠如(意思決定者の不在)の四点が議論になった。
 では、もし国内の不備が改善されていたら避けられたという結論になるのだろうか。欧米列強を中心とした帝国主義的潮流の中で日本はどう対応したのか。その分析も重要だ。今回はゲスト講師に片山杜秀先生をお招きした。
 日本は太平洋が発見される前は世界の極東だった。19世紀初頭、「日本が極東」という状況を壊したくないという思いは、思想として、尊皇攘夷の聖典『新論』(会沢正志斉)に記されている。
 外国の影響を排して日本の独自性を守らなくてはいけない(尊皇攘夷)という世界観の崩壊を意味したのが米国を起動因とする日本の開国であった。圧倒的国力を有する国が「東」に現れ、日本の極東性と日ののぼる国である証明は日付変更線のみとなった。
 日本にとって世界の極東であり続ける意味、米国が太平洋をいかに重視したか、日本海軍の実情、そして戦争に勝つことより天皇大権を犯さずに国体を保持することが優先された日本人の精神構造等、片山先生から多岐テーマに亘りご講義いただいた。日本を考える上で、たくさんの物差しを持つことが重要であることを知る講座になった。

 (中村真理)

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